電力=3月24~28日:電力スポットは前週比で急落、四国は全時間帯で0.01円の日も
3月24~28日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週から急落。本格的な春の到来で需給緩和感が強まった。関東以西では25度を超えた地域も多く、27日には新潟県上越市高田で30度に達した。3月に本州で30度に達したのは初めてとなる。太陽光発電も潤沢となった日が多かったため、平日ながら各エリアで0.01円を付けた。 四国では、愛媛県今治市と岡山市で発生した山火事の影響により、保安上の理由から23日夜より本四連系線の運用が停止となった。このため、四国から本州向きに電気が流れなくなり、四国エリア内の電力需給が極端な余剰状態となったことで、25日受け渡しでは0~24時の全時間帯で0.01円を付けるという異常事態となった。26日受け渡しも全時間帯で0.01円を付け、27日受け渡し以降は3.00円や5.00円を付ける時間もあったが、大半の時間で0.01円を付けた。31日まで本四連系線の運用は停止となる予定のため、四国では月内に極端な安値を付ける日が続くとみられる。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、24日が2.99円、25日が0.66円、26日が2.44円、27日が3.04円、28日が0.46円の東高西低となった。
3月第4週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、3月第3週から軟化した。3月27日時点で期近の25年5月着品がmmBtuあたり13ドル台前半となり、前週末時点(3月21日)から0.5ドル超の下落となった。欧州の天然ガス相場が軟調に推移したことを映し、北東アジア市場のLNG相場もつれ安となった。また、北東アジア市場では買い気が低調な中で、売り物が増えたことも相場の弱材料となった。経済産業省が3月26日に公表した、3月23日時点の発電用LNGの在庫は183万トンとなり、前週から17万トン増えた。前年3月末時点の148万トンを上回ったが、過去5年平均の203万トンを下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、3月27日時点の25年3月積みがトンあたり96ドル台後半となった。前週末時点から0.2ドル程度の下落。ガス価格の下落に連動した。 原油相場は、3月28日午前時点でWTIの25年4月物がバレルあたり70ドル前後、ブレントの25年5月物が74ドル前後の水準。前週末時点から、WTIが3ドル弱、ブレントが2ドル弱のそれぞれ上昇となった。米国による関税政策でベネズエラ産原油の供給が減少するとの見方が強まったことや、米国内の原油在庫の減少が強材料となった。ただ、トランプ米大統領による通商政策が、世界的な景気後退と原油需要の減少を招くとの懸念が根強く、上値は抑えられた。同大統領は26日、米国に輸入される自動車と主要部品への新たな関税措置を発表した。
週を通じた実勢高値は、24日に北海道で付けた18.77円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、25日に全9エリアとシステムプライス(SP)で、26日に北海道を除く8エリアとSPで、27~28日に四国でそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で4.37円安の10.00円、東北が同3.67円安の9.55円、東京が同3.60円安の9.76円、中部が同4.91円安の8.65円、北陸と関西が同5.75円安の7.84円、中国が同5.35円安の7.82円、四国が同10.45円安の2.10円、九州が同3.65円安の7.46円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から13.9%増の14億522万6,100kWh、買い札が同17.0%減の8億6,774万4,630kWhとなった。約定量の週間平均は、同6.6%減の7億6,378万1,430kWhだった。
3月24~28日の9エリアの電力需要は、105億1,936万4,000kWhとなり、前週3月17~21日の126億4,814万2,000kWhから16.8%減少した。曜日を合わせた前年の3月25~29日の需要実績は118億3,790万2,000kWhで、減少率は11.9%となった。
3月24~28日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
3月24~28日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。260件・1,961MWの約定があった。
新年度となる4月第1週の電力スポットは、週前半に底上げの動きとなりそうだ。初夏の陽気となった3月第4週から気温が急低下し、4月1日の最高気温は西日本で15度前後、関東では15度を下回る見通し。このため、東日本では暖房需要が再び入る可能性もあり、価格上昇の動きが強まるとみられる。ただ、週半ば以降は気温が右肩上がりになるため、価格もこれに連動して下押すとみられる。一部の市場関係者からは、「東日本では、週前半のベース価格が15円程度まで上昇する可能性もあるのではないか。西日本は、高くてもベースで10円程度ではないかとみており、東西値差が乖離傾向になると思う (新電力の市場取引担当者)との見方も示された。定期点検などで停止する火力発電が増えているため、想定外の気温変化や設備トラブルが生じた場合、思わぬ高値を付ける可能性はある。また、新年度入りで各社の相対電源契約などもリセットされるため、相対比率の変化などにより電力スポットの動きにも変化が生じる可能性もありそうだ。
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